なぜこの映画を見たか、明確な理由がなく極めて偶然でした。
下敷きになったのは清水久典作「死にゆく妻との旅路」です。
原作も映画も夫婦二人の実話に基づいたものだそうです。
この清水様は町工場経営で不運にも破綻したようで、
残り物は4000万円の借金、青いワゴンと50万円所持金だけ。
このような状況で偶然にも始まった末期ガンの妻との旅は、
結婚後最初のデートでもあり最後の思い出もでもなったとのこと。
272日、6000km、ハローワークと名勝を回りながら、
途中帰宅、入院などいろいろ選択もあったが旅が続けられることに、
「最後まで夫婦で一緒にいる」と妻が願い、そしてそれに夫が応える。
やがて若いときから聞いてきた夫の口笛の中、ドライブ中に妻が永眠に。
1999年12月2日に亡くなった妻をワゴン車に残されたことで、
「保護者責任遺棄致死」で逮捕され、当時ニュースにも出た話だそうです。
実話に基づいた作品の原因か、最後の過ごし方にフォーカスし、
主人公に関する過剰な掘り下げがなく、会話も極めて平淡としていました。
でも主演者の三浦友和と石田ゆり子は、人物の心底の葛藤をうまく表現し、
過酷なワゴン長旅、痛みが絶えない闘ガン生活、金欠の不安などを感じさせず、
美しい日本の風景を背景に、「一緒にいてよかった」との幸せ感を漂わせます。
しかし、結末に警察署を出て駐車場に泊まった青いワゴン車を目に瞬間、
夫が空気を感じるものの妻を見つけず、声を押し殺した男泣きに思わず涙が溢れます。
最後を受容したことで最後を迎えることが穏やかでしたが、
でも本当にいなくなった事実は、けっして簡単に受け入れられるものではありません。
二人でいた事実は罪かどうかを解けるのは、すでに重要ではありません。
最後のワンショットはスクリーンに映る「For Hitomi Shimizu」、
究極な純愛だけ真実であり、妻との思い出を書き留めたことは、
妻の選択を尊重した一つのギフトとして受け止めたいと思います。
人間は最後を迎えるものです。
病院で薬と機械に囲まれて延命するオプションもあれば、
最愛の人と濃密な時間を送り、精神的な満足で他界へ旅たつこともあります。
自分で選択できた妻とそれに応えた夫は、本当に罪ではないと思います。
二人芝居で低予算映画だとか、会話が平淡で内容が重いとの口コミもあるが、
深く考えさせられるもので、心に沁みる作品で間違いありません。
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